容器の違いだけでなく、両者が日本に伝来した歴史的背景と語源を紐解くと、まったく異なる異国の飲料文化に行き着きます。
1. ラムネの語源とペリー来航による幕末伝来
ラムネの語源は、英語の「レモネード(Lemonade)」です。幕末の1853年、マシュー・ペリー率いる黒船が浦賀へ来航した際、艦上で幕府の役人に振る舞われたのが日本における炭酸飲料の黎明とされています。当時の日本人が「レモネード」の発音を聞き取った際、「レモネ」が転じて「ラムネ」と定着したという記録が当時の外交記録や手記に残されています。
その後、1865年に長崎で日本人による本格的な製造が始まり、レモン果汁に砂糖と炭酸ガスを加えた清涼飲料として都市部を中心に急速に普及していきました。
2. サイダーの歴史とシードル、そして三ツ矢サイダーの誕生
一方、サイダーの語源はフランス語の「シードル(Cidre)」、あるいは英語の「サイダー(Cider)」であり、本来はりんごを発酵させて造る微発泡酒を意味していました。
日本にサイダーが導入された明治初期、横浜の外国人居留地でイギリス人技師によってりんごの香りをつけたノンアルコールの炭酸飲料が開発されました。これが日本独自の「透明炭酸飲料=サイダー」の起点となります。1884年には兵庫県で天然鉱泉を利用した「平野水」の製造が始まり、のちに1909年、宮内省御用達となった「三ツ矢平野シャンペンサイダー」が発売されます。これが現在も続く三ツ矢サイダーと日本の炭酸飲料の礎となり、「高級で洗練された洋風飲料」としてのサイダー像を確立しました。