ネット上で散見される誤解の一つに、「雨が降れば黄砂はすべて地面に落ちて洗い流されるから安心」という俗説があります。しかし、気象学および環境工学の視点から見ると、これは極めて危険な思い込みです。
雨の降り始めは大気中の黄砂を取り込んで降るため、いわゆる「泥雨(どらあめ)」となります。この泥雨が車やベランダ、窓ガラスに付着して乾燥すると、雨水に含まれる酸性成分と鉱物粒子が化学結合を起こし、通常の水洗いでは落ちない強固なイオンデポジット(ウォータースポット)を形成します。つまり、雨が降った直後こそが最も汚れが固着しやすい危険なタイミングなのです。
さらに、室内の換気に関しても誤った知識が広まっています。「窓を全開にして一気に空気を入れ替える」行為は、室内に高濃度の黄砂と化学物質を招き入れる結果となります。飛来中の換気は、レースのカーテンを閉めた状態で窓の開口幅を10cm程度にとどめ、空気清浄機を吸気口の近くで「強運転」させることが室内環境を清浄に保つ防衛策となります。