当時の渋谷電力館がこれほどまでに人々の記憶に刻まれているのは、単なる企業のPR施設にとどまらない圧倒的な体験型コンテンツの質の高さにありました。館内はフロアごとに明確なテーマが設定され、子供たちの知的好奇心を刺激する仕掛けが随所に散りばめられていました。
エスカレーターで上層階へ上がると、まず目を引いたのが発電の仕組みをダイナミックに再現した大型ジオラマやシミュレーターです。手回し発電機で模型の電車を走らせるコーナーや、静電気の実験装置、光ファイバーを用いた通信体験など、自ら触れて動かすギミックが満載でした。さらに上階には、最新のIHクッキングヒーターを備えたキッチンスタジオや、科学実験ショーが定期開催されるイベントホールが設置され、週末には定員オーバーになるほどの人気を集めていました。
SNSやネット掲示板の回顧スレッドを調査すると、元来館者たちからは極めて熱量の高い声が寄せられています。
「渋谷で映画を観た後、お金を使わずに涼んだり遊んだりできる最高のオアシスだった」「修学旅行の自由行動で迷ったらとりあえず電力館に行けば楽しめた」「理科が苦手だったけれど、あのボタンを押して光る装置を見て科学が好きになった」——こうした評判や口コミが示す通り、電力館は都市部における「開かれた科学教育のインフラ」として機能していた実態が浮き彫りになります。