本作の構造的な面白さは、密室劇である教室内のドラマと、教室の外で繰り広げられる「世論の変遷」がリアルタイムに連動していた点にあります。作中に登場した架空のSNS「マインドボイス」は、実在する短文投稿プラットフォームやネット掲示板のユーザー生態系を冷徹なまでに忠実にトレースしていました。
事件発生当初、一颯を「凶悪なテロリスト」と断罪していたネット民は、武智の悪行が暴露されるや否や彼を「正義の告発者」と崇め、武智へ猛烈な個人攻撃を開始します。しかし、一颯の本当の目的がマインドボイス利用者への断罪であるとわかるや、今度は「自分たちは悪くない」「騙されただけだ」と保身に走る――。この集団心理の浅薄さと醜悪さは、視聴者自身の胸に冷や水を浴びせる演出でした。
当時のSNS上では「フィクションとは思えない」「自分のタイムラインを見ているようで背筋が凍る」といった声が相次ぎました。正義感という美名のもとに他者を攻撃し、真偽不明の情報を拡散してしまう人間の弱さを、エンターテインメントの枠組みを用いてこれほど直接的に突きつけた作品は他に類を見ません。