店頭で見事なオレンジ〜紅色に輝くサーモンの切り身を見て、多くの消費者が「マグロやカツオと同じ赤身魚」と錯覚しがちです。しかし、水産学・生化学上の分類においてサーモンは紛れもない「白身魚」です。
魚の赤身・白身を分ける科学的基準は、筋肉中に含まれる色素タンパク質「ミオグロビン」や「ヘモグロビン」の含有量(筋肉100g中10mg以上が赤身魚)にあります。マグロなどの回遊魚は、長距離を泳ぎ続けるために酸素を蓄えるミオグロビンが筋肉中に高濃度で詰まっているため身が赤くなります。対照的に、サケ科魚類の筋肉中にはミオグロビンがごく微量しか含まれていません。
では、あの鮮烈なオレンジ色はどこから来るのか。その正体は、甲殻類(プランクトンやエビ・カニ)に含まれるカロテノイド系色素「アスタキサンチン」です。サケやサーモンは餌から摂取したアスタキサンチンを筋肉組織に蓄積する特異な代謝システムを持っています。
このアスタキサンチンは、ビタミンEの数百倍とも称される極めて強力な抗酸化作用を発揮します。産卵のために川を遡上する過酷な運動ストレスから自身の筋肉を活性酸素から守るための生体防御機能であり、人間の体内でもアンチエイジングや疲労回復、血流改善を強力にサポートする機能性成分として注目を集めています。さらに、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)といった良質なオメガ3脂肪酸も高密度で含まれています。