従来の「土の家」といえば、左官職人が何ヶ月もかけて泥を塗り重ねる、膨大な人件費と手間がかかる高級工芸品のような存在だった。しかし、その常識はここ数年で木ごとなぎ払われた。
主役となったのは、大型3D建設プリンターと粘土質土壌を瞬時に凝固させる特殊な天然バイオバインダー(結合剤)の組み合わせだ。建築現場で発掘された現場の土をその場で建材に変換し、ロボットアームが数日で流線型の美しい壁体を形成していく。
輸送コストは実質ゼロ。材料費も従来のRC造(鉄筋コンクリート)に比べて4割以上削減された。デジタルファブリケーション技術の進化によって、かつて一部のマニアだけのものだった土の住居が、一般的なファミリー層の手の届く価格帯へと降りてきたのだ。