永作博美の原点は、1989年に放送されたフジテレビの伝説的育成バラエティ番組『パラダイスGoGo!!』内の乙女塾にあります。そこから松野有里巳、佐藤愛子とともに結成された3人組アイドルグループ「ribbon(リボン)」の中心メンバーとして歌手デビューを果たしました。当時のアイドル界では高い歌唱力と飾らないトーク力で一世を風靡し、若い頃から抜群の存在感を示していました。
1990年代半ばにグループ活動が休止すると、多くの元アイドルが芸能界の荒波に呑まれる中、彼女はいち早く舞台やドラマの現場へ飛び込みます。1999年のドラマ『週末婚』では複雑な女性心理を体当たりで演じ、2000年代以降は劇団☆新感線の舞台や映画へと活動の幅を広げました。転機となったのは2011年公開の映画『八日目の蝉』です。逃亡を続けながら他人の子を育てる不穏で狂おしい母性を熱演し、第35回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞をはじめとする主要映画賞を総なめにしました。
当時の特番インタビューや手記において、彼女は「アイドルと呼ばれる枠から抜け出す怖さよりも、目の前にある役にどれだけ嘘なく向き合えるかを考えていた」と述懐しています。2026年度後期のNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』では、ヒロインを温かく、時に厳しく支える母親・岩倉めぐみ役を好演。平成から令和へと時代が移り変わっても、彼女が演じるキャラクターは常に市井の人々の胸を打ち続けています。