「小さくて大人しい」「散歩がいらないから飼いやすそう」というイメージは、実態と大きく乖離しています。飼育者コミュニティや現場取材から浮かび上がるのは、野生動物と暮らすことの壮絶な現実です。
猿ペットの臭いとデメリット|トイレは絶対に覚えない
犬や猫と決定的に異なる最大の壁が排泄の習性です。霊長類全般に言えることですが、トイレの場所を覚えることは基本的に不可能です。木の上から下に排泄物を落とすのが本来の生態であるため、ケージ内を跳び回りながら、あるいは放し飼い中に飼い主の肩や家具の上で無自覚に排泄します。
さらに深刻なのが猿ペットの臭いとデメリットの中心である「マーキング行為」です。ショウガラゴは手足に自らの尿を塗りたくる「尿洗い(ウリンウォッシング)」を行い、その手足で壁やカーテン、ケージを激しく触り回ります。コモンマーモセットも肛門や生殖器周辺の分泌腺を家具に擦り付けて自己主張を行います。独特の獣臭やアンモニア臭が室内に染み付き、毎日の徹底したケージ洗浄と消臭作業を怠ると、一般家庭の生活空間を維持することは困難になります。
小さい猿の寿命と性格|反抗期と強烈な噛みつき
小さい猿の寿命と性格を正しく理解することも不可欠です。小型であっても寿命は12年から長い個体で18年に達し、犬猫と同等以上の長期飼育責任が伴います。
性格は極めて気まぐれで、神経質です。幼少期は甘えて鳴いていた個体も、生後1〜2年で性成熟を迎えると「反抗期」に突入します。序列意識が芽生え、縄張り主張が激しくなると、飼い主であっても気に入らない刺激に対して本気で噛みつきます。小型猿の牙は非常に鋭利で、噛まれれば大人の指でも肉が裂け、激しく出血します。「ぬいぐるみのようにおとなしく抱っこさせてくれる」時期はごく短く、成長後は「野生の牙を持つ同居人」として接する距離感が求められます。