長年にわたり米国の社会運動の中心人物として君臨してきたアル・シャープトン。彼の足跡を巡っては、賞賛と批判が常に背中合わせに存在していた。新鋭ジョシュ・アレクサンダー監督は、この極めて客観的視点が問われる対象に対し、単なる歴史の記録者にとどまらないアプローチを試みている。
カメラが捕らえたのは、大衆の前で見せる力強い演説の姿だけではない。楽屋で見せる深い溜め息、沈黙のなかに漂う苦悩の表情だ。監督はこのドキュメンタリー映画に、まるで心理劇のような緊張感を持ち込んだ。事実を淡々と並べるのではなく、緻密な構成によって映画全体を緊迫した社会派サスペンスの領域へと引き上げた手腕は、まさに圧巻と言える。