彼女の原点を語る上で、ボーイズラブというジャンルで研ぎ澄まされた濃密な心理描写と人間観察眼を外すことはできない。その最高到達点とも呼べる『美しい彼』シリーズは、MBSテレビによるドラマ化を契機に、国境を越えたシンドロームを巻き起こした。
無口で自己評価が極端に低い平良一成を演じた萩原利久と、学校の頂点に君臨するカリスマ・清居奏を演じた八木勇征。二人が生み出した奇跡的なケミストリーは、原作が持つ歪で純粋な「崇拝と執着」の関係性を完璧な形で具現化した。底辺と頂点という残酷な格差を抱えながら、互いしか見えなくなっていく男たちの狂おしい愛。底知れぬ熱量はアジア圏をはじめ世界中のファンを虜にし、カルチャーの枠を押し広げる現象となった。