大久保が握っていた権力は絶大だった。彼が創設した内務省(明治)は、警察、地方行政、殖産興業、土木を一手に統括する、いわば国家機構の中枢神経である。
富国強兵と殖産興業を急速に推し進め、欧米列強に比肩する近代国家を短期間で作り上げる。そのためには合議制の生ぬるい議論ではなく、強力なトップダウン型の官僚統治が不可欠であると大久保は信じていた。この苛烈なまでの推進力こそが近代日本の基礎を築いた一方で、「有司専制(官僚による独裁政治)」との強い反発を招き、自らの命を縮める引き金となった皮肉は否定できない。