ブルックが海賊になる前の経歴を遡ると、彼はとある「西の海の王国の護衛戦団団長」を務めていた過去を持ちます。そこで培われたフェンシングをベースとする鋭い早斬りの剣術は、海賊となった後も彼の代名詞となりました。かつて生前の若き日には、駆け出し時代のゴール・D・ロジャーを「ルーキー」として耳にした記憶があるなど、伝説の時代以前の空気を肌で知る生き証人でもあります。
そんなブルックの90年にわたる人生において、最大の行動原理となっているのが幼きクジラ「ラブーン」との約束です。
西の海で群れからはぐれた幼いラブーンは、ルンバー海賊団の陽気な音楽に惹かれて航海に同行するようになりました。しかし、危険に満ちた偉大なる航路へ連れていくことはできず、双子岬の灯台守クロッカスに預け、「世界を一周して必ず再び会いに来る」という誓いを立てて旅立ちました。
肉体を失い、仲間を全員失った後、ブルックは舵の壊れた幽霊船で49年間もの孤独な歳月を過ごしました。発狂してもおかしくない極限の孤独の中、彼を正気につなぎ止め続けたのは、音貝に残した仲間たちの最期の合唱と、「正面から壁を越えて帰ることはできないが、世界を一周して再びラブーンの元へ帰る」という約束でした。ルフィたち麦わらの一味との出会いは、半世紀に及んだ暗闇の航海に終止符を打ち、約束を果たすための新たな船出となったのです。