映画『ワンダー』の真実と、当事者が闘う知られざる医療の今

映画『ワンダー』の真実と、当事者が闘う知られざる医療の今

映画『ワンダー』の真実と、当事者が闘う知られざる医療の今の要点を分かりやすくまとめてご紹介します。

1900年、イギリスの眼科医エドワード・トリーチャー・コリンズが学会に報告したことからその名がついたこの病態は、現代の分子遺伝学によってそのメカニズムが急速に解き明かされつつある。難病情報センターが公表しているデータによれば、主たる原因は胎児期における神経堤細胞のアポトーシス(細胞死)の亢進であり、約8割の症例でTCOF1遺伝子の変異が関与していることが突き止められている。その他にもPOLR1CやPOLR1Dといったリボソーム生合成に関わる遺伝子群の変異が同定されている。

症状の現れ方は極めて多彩だ。頬骨の欠損、下まぶたの垂れ下がりや外側部分の欠損(コロボーマ)、小耳症に伴う伝導性難聴、そして著しい下顎後退。これらは単なる容姿のバリエーションではない。咽頭腔の狭窄による重篤な睡眠時無呼吸や新生児期の気道閉塞は、しばしば出生直後からの気管切開を強いる。知能は多くのケースで保たれているにもかかわらず、外見と構音障害によって認知面の発達に偏見を持たれる二次被害も後を絶たない。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。