一方で、万力結びには「万能ゆえの落とし穴」が存在します。知らずに施工すると重大な荷物破損や事故につながるため、以下の盲点を正確に把握しておく必要があります。
盲点1:ポリプロピレン(PP)ロープでの結束はすっぽ抜けの危険大
ホームセンターで安価に販売されている黄色のトラロープ(PPロープ)は、表面が非常に滑らかで摩擦係数が極端に低い素材です。万力結びの中間ループに強烈な荷重がかかった際、結び目がスリップして突然パンッと輪が崩壊する事案が報告されています。トラック荷締めには、摩擦力と耐久性のバランスに優れたビニロン(クラレのクレモナ等)ロープの12mm径を使用するのが運送業界の鉄則です。
盲点2:「締めすぎ」による荷物や軽トラのアオリ変形事故
万力結びの締め付け力は人力の想像を遥かに超えます。ダンボール箱や合板、プラスチックケースを積載している場合、力任せに体重をかけて引くと荷物そのものが押し潰れて破損します。さらに、軽トラックのアオリ(荷台側面のあおり板)の中央フックで過剰に締め上げると、鉄板が内側に歪んで戻らなくなるケースもあります。角当て(養生用コーナーパッドや当て布)を必ず挟むことがプロの常識です。