パスタファリアニズムが世界中で愛される理由は、その徹底して作り込まれたパロディ教義にあります。聖典『空飛ぶスパゲッティ・モンスターの福音書』には、伝統的な宗教の構造を巧みに模倣した世界観が描かれています。
教団の信仰対象は、麺と2つのミートボール、そして2つの眼球を持つ不可視の神「空飛ぶスパゲッティモンスター(FSM)」です。主たる教義の特徴には以下のようなものがあります。
- 祈りの結びは「ラーメン(RAmen)」:キリスト教の「アーメン(Amen)」に麺類のラーメンを掛けた聖なる祈りの言葉です。
- 天国と地獄の構造:信者が死後に行く天国には、美味な酒が噴き出す「ビール火山」と「ストリッパー工場」が存在します。地獄にも同様の施設がありますが、ビールは気が抜けてぬるく、ストリッパーは性病にかかっています。
- 地球温暖化と海賊の関係:教団では海賊(パイレーツ)が「神聖な原初の信者」と位置付けられています。「過去数百年間で海賊の数が激減した時期と、地球の平均気温が上昇した時期が完全に一致している」というグラフを提示し、「温暖化は海賊の減少が原因である」と主張します。これは「相関関係と因果関係の混同」という擬似科学の詭弁を痛烈に皮肉ったものです。
- 8つの「本当にやめてほしいこと」:モーセの十戒を模した戒律ですが、上から目線の命令ではなく、「私の存在を誇示するために狂信的な行動をするのは本当にやめてほしい」「私の名の下に他者を迫害するのはやめてほしい」といった、極めて寛容でリベラルな道徳律で構成されています。