恋愛や性愛への違和感の正体とは?アセクシャルが問い直す愛の形

恋愛や性愛への違和感の正体とは?アセクシャルが問い直す愛の形

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アセクシャルを公言した際に返ってくる反応の典型が、「まだ運命の人に出会っていないだけだよ」「良い経験をすれば変わる」という言葉だ。相手に悪意はなく、むしろ励ましのつもりで発せられることが多いこの台詞こそが、当事者を最も深く傷つけるマイクロアグレッション(無意識の差別)となる。

このような言葉の背景には、「すべての人間は潜在的に他者との性愛を求めている」という強固な性愛規範(アロノーマティビティ)が存在する。恋愛や性行為を人生の最高到達点とし、それを持たない人間を「未成熟」や「不完全」と見なす文化的な刷り込みだ。

食事の好みに個人差があるように、他者への性的関心にも個々のあり方がある。それを「欠如」や「一時的な迷い」と決めつける態度は、相手の尊厳そのものを否定することに等しい。経験の多寡ではなく、自己の内省を通じて確立されたアイデンティティとして受け止める視点が社会全体に求められている。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。