数字の先にある「リアルな入試現場の空気」を把握するため、都内大手予備校の進路指導室および近年の合格者・不合格者の検証データから、合否を分けた生々しい境界線を追跡しました。
都内の難関国公立志望者向けクラスを受け持つ進学指導責任者は、現場の過熱感を次のように吐露します。
「東京都の授業料実質無償化が所得制限なしで定着した影響で、これまで早慶や東京理科大学を第一志望にしていた層が『学費が浮くなら都立大がベスト』と雪崩を打って出願してきています。その結果、共通テストで8割を超えていても平気で不合格になる現象が理系学部を中心に起きています。彼らは私大対策で理系数学や英語を徹底的に解き込んでいるため、2次試験の記述力で公立第一志望の高校生が競り負けてしまうのです」
実際に、システムデザイン学部機械システム工学科の合格者手記には、次のような生々しい実体験が記されています。
「共通テストリサーチではC判定、得点率は74%で絶望的でした。しかし都立大のシステムデザインは2次配点が極めて高い。過去問10年分を徹底的に解き、理系数学の数III・数C(特に微積と複素数平面)の論証過程を予備校の先生に毎日添削してもらいました。本番では数学の大問を1つ完答できたことが決め手となり、共テA判定の併願生を逆転できました」(合格者・Aさんの手記より)
対照的に、不合格となった受験生からは「共通テスト利用の油断」を後悔する声が目立ちます。ネットの掲示板や知恵袋でも頻見されるのが、「共通テストでボーダー+4%取れていたので安心していたが、2次の英語の要約問題で時間が足りなくなり、部分点が取れずに散った」という告白です。都立大の2次試験は決して奇問・悪問は出ないものの、標準問題を過不足のない論理で説明しきる力が厳格に採点されており、基礎の記述を疎かにした受験生をシビアに弾き出しています。