まず押さえておきたいのが、基本的な呼称と仏教的な背景です。得月院の読み方は「とくげついん」と読みます。
「得月」という言葉は、仏教の禅語や東洋の古典詩文に深く根ざしています。水面に映る清らかな月を得る、あるいは雲が晴れて澄み渡る月影を掴むように「悟りや心の静寂を得る」という尊い境地を表す言葉です。
武家社会において、大名やその正室・側室が出家・落飾した際に授かる「院号」は、その人物の生前の徳や家格の高さを示す極めて格式高い名誉でした。得月院という院号が授けられた背景には、動乱の時代を耐え抜き、一族の安寧を祈り続けた女性への深い敬意と追悼の念が込められています。