ニューサウスウェールズ州ポート・マッコリーにある「コアラ病院」や、クイーンズランド州の野生動物救護センターでは、今も連日、傷ついたコアラが運び込まれています。救護活動に従事する現地の上級レンジャーや獣医師は、メディアの取材に対して沈痛な面持ちで現場の惨状を語っています。
「運ばれてくるコアラの半数以上は、単なるケガではありません。極度の脱水症状に陥っているか、クラミジアによって両目を腫らし、盲目となって道路をさまよっていた個体です。かつて自分たちの縄張りだった場所が、数ヶ月でブルドーザーによって更地にされ、住宅街や高速道路に変わってしまう。彼らは逃げ場を失い、地上を歩くしかなくなり、車に轢かれ、飼い犬に噛み殺されています」(現地野生動物保護施設スタッフの証言資料より)
日本国内のSNSや知恵袋などでも、「動物園で見る愛くるしい姿しか知らなかった」「コアラがそこまで追い詰められているとはショックだ」といった驚きと懸念の声が広がっています。一方で、オーストラリア現地では「経済発展のための住宅開発」と「コアラの原生林保護」の板挟みとなり、都市近郊の自治体と環境保護団体の間で激しい摩擦が続いています。人間が広げ続ける生活圏のフロンティアが、無言のコアラを確実に窒息させているのが現場の偽らざる実態です。