インターネット上の掲示板やSNSでは、「庭にできたクロスズメバチの巣から高級食材の蜂の子がタダで手に入る」「自家採集して甘露煮にすれば絶品」といった情報がしばしば散見されます。愛知県、岐阜県、長野県などの山間部地域では「ヘボ料理」としてクロスズメバチの幼虫・蛹を炊き込みご飯や甘露煮で食す深い伝統文化が存在するのは事実です。
しかし、ネット上の軽々しい情報を鵜呑みにして素人が裏庭の巣を掘り返す行為は、極めて無謀な危険行動と言わざるを得ません。
伝統的な「ヘボ追い(すがれ追い)」は、真綿をつけた餌を成虫に持たせて山野を追跡し、特殊な防護装備と伝統技術によって巣を掘り出す高度な名人芸です。素人が家庭用の殺虫剤を噴霧してしまった巣の蜂の子は、有機リン系やピレスロイド系の薬剤成分を全身に浴びて汚染されており、食用にすることは絶対に不可能です。
「食材として再利用できるのでは」という中途半端な好奇心は捨て、居住スペース近くに存在するクロスズメバチの巣は、純然たる「刺傷事故のリスク要因」として衛生害虫処理の観点から向き合う必要があります。