ブラシで目に見えるダニを落とした後に欠かせないのが、ケース内の環境改善です。ここで決定的な威力を発揮するのが、ヒノキやスギ、ヒバなどを原料とした「針葉樹マット」や「ヒノキチップ」の導入です。
本来、カブトムシの幼虫飼育や産卵にはクヌギ・コナラなどの広葉樹を発酵させたマットを用いますが、この広葉樹マットはダニにとっても格好の繁殖床となります。一方、ヒノキをはじめとする針葉樹には、樹木が自ら身を守るために分泌する揮発性物質「フィトンチッド」や「ヒノキチオール」などのテルペン類が豊富に含まれています。
この針葉樹成分は、ダニの呼吸器系や神経系に忌避・麻痺作用をもたらします。実際に針葉樹マットを敷いたケースにカブトムシを移すと、体表に残っていたダニが数日から1週間ほどでポロポロと脱落し、マット内での増殖も完全にストップします。さらに、針葉樹には強力な消臭・抗菌効果があるため、夏場に発生しやすいケース内の嫌な発酵臭や排泄物臭を劇的に抑えてくれる副次的メリットも見逃せません。
ただし、この針葉樹マットの活用には「成虫の鑑賞飼育に限定する」という絶対の鉄則が存在します。針葉樹に含まれる成分は幼虫にとっても有毒であり、産卵床や幼虫のエサとして使用すると幼虫が潜れずに死亡してしまいます。目的が成虫のダニ駆除および延命であれば、針葉樹マットやヒノキ粗削りチップへの切り替えが最も手軽で絶大な効果を発揮します。