自力で涙袋を作ろうとする過程で、最も警戒すべき落とし穴が「目袋(目の下のたるみ)」との混同、そして「アイテープによる皮膚弛緩」です。
SNSでは、医療用テープや二重テープを目元に貼り込んで「涙袋の線を癖付けする」という裏技が紹介されることがあります。しかし、二重まぶたの皮膚構造と下まぶたの構造は根本的に異なります。上まぶたの二重は眼瞼挙筋の腱膜が皮膚に付着することで生じる「折り込み」ですが、涙袋は筋肉の「隆起」です。皮膚をテープで無理やり圧迫して線を刻み込もうとしても、筋肉が盛り上がるわけではありません。得られるのは単なる皮膚のシワと慢性炎症です。
さらに恐ろしいのは、長期間の引っ張りや摩擦によって皮膚の弾力が失われ、眼球クッションの役割を果たしている「眼窩脂肪(がんかしぼう)」が前方へ押し出されてしまう現象です。これは涙袋ではなく、加齢現象として知られる「目袋(バギーアイ)」の人工的な早期形成に他なりません。
「自力で大きな膨らみができた」と喜んでいた人が、30代を迎えた頃に「実はただの脂肪のたるみで、強烈な老け見えの原因になっていた」と気付くケースは皮膚科の臨床現場で後を絶ちません。一度伸びてしまった目元の皮膚や突出した脂肪は、セルフケアで元に戻すことは不可能であり、最終的に高額な「下眼瞼脱脂術」などの外科手術が必要になるという本末転倒な事態を招きます。