発見の瞬間は唐突だった。釣り人が多摩川の泥の中に沈んでいた黒いスーツケースを見つけ、通報したことから悲劇の発覚に至る。開けられたケースの中から発見された遺体には、激しい暴行の痕跡が残されていた。
事件の凶悪性と波紋の大きさを重く見た神奈川県警察は、直ちに多摩川河川敷捜査本部を立ち上げた。現場周辺のNシステム(自動車ナンバー自動読取装置)の解析、防犯カメラリレー、さらには犠牲者の交友関係の洗出しが徹底して行われた。捜査員たちが足で稼いだ手がかりは、単なる路上犯罪ではなく、計画的かつ組織的な隠蔽工作が行われていた可能性を物語っていた。