ネット上の掲示板やSNSを覗くと、「マッチングアプリはサクラばかりで危険」「課金させられるだけで会えない」といった辛辣な書き込みが散見される。こうしたマッチングアプリの安全性と評判を巡る疑心暗鬼の根底には、かつて平成期に横行した「出会い系サイト」の負のイメージが色濃く影を落としている。
しかし、取材に応じた大手アプリ運営幹部は「現在の月額固定料金制(サブスクリプション)モデルにおいて、運営側がサクラを雇う経済的メリットは皆無である」と断言する。旧来の出会い系はメッセージ1通ごとにポイント課金が発生する従量課金制だったため、架空の女性会員で男性を煽るインセンティブが働いていた。対して、定額制の大手サービスでサクラを雇えば、発覚時に業務停止命令や詐欺罪に問われ、数十億円規模の企業価値を瞬時に失うリスクを負う。
問題の本質はサクラではなく、外部から一般ユーザーを装って潜り込んでくる「悪質業者」の存在だ。両者は構造上まったく異なる存在であり、混同してはならない。危険を回避する第一歩として、マッチングアプリのサクラと業者の見分け方を正しく把握しておく必要がある。
業者の代表例としては、マルチ商法の勧誘、暗号資産やFXへの不正誘導、悪質サイトへの誘導リンクを踏ませるスパム、個人情報を集める名簿収集業者などが挙げられる。彼らは運営の監視をすり抜けるため、マッチング直後に「アプリが重いから」「退会するから」と理由をつけてLINEや外部SNSへ誘導を図る。マッチングして間もない段階で過度な好意を示し、外部連絡先への移行を急ぐアカウントは、9割以上の確率で外部業者と判断して差し支えない。