時計の針を数年前に戻してみよう。ソフトバンクグループを率いる孫正義氏が「感情を持つロボット」として世界に大々的に披露したペッパーは、まさにテクノロジーの象徴だった。人々の暮らしにロボットが溶け込む社会の到来を告げる存在であり、その試金石として選ばれたのが、膨大な客数が日々訪れる回転寿司業界だった。
ソフトバンクロボティクスが手掛けたこの挑戦は、当初、社会に大きな衝撃を与えた。店頭でロボットと会話ができるという体験は強力な集客フックとなり、メディアでも連日のように取り上げられた。しかし、初期の熱狂が去り、ロボットが日常の風景へと変わるにつれて、人々がロボットに求めるものは「珍しさ」から「圧倒的な利便性と処理スピード」へとシフトしていく。孫正義氏が描いた壮大なビジョンは、日本の外食産業における現場のシビアな現実と対峙することとなった。