約10年間に及ぶ闘病生活を送りながらも、さくらももこは周囲に悲壮感を見せることは決してなかった。当時彼女を間近で支えたスタッフや家族から、病床で描かれた未公開のアイディアメモや未発表スケッチの存在が明かされている。そこに残されていたのは、苦痛の訴えではなく、クスッと笑える日常の観察眼や、命の愛おしさを淡々と描いた言葉の数々だった。
体調の波と戦いながらもデスクに向かい、一コマ一コマに愛情を注ぎ続けた姿は、まさに表現者としての最期の情熱そのものである。「読者に余計な心配をかけたくない」という思いを最期まで貫き、アトリエでは終始変わらぬ明るい笑顔とジョークが交わされていたという。病すらも創作の糧へと昇華させようとしたその生き様は、今なお多くの人々の心を深く揺さぶっている。