1992年夏。番組の放送15周年を記念する特別企画として、「24時間の生放送中に視聴者とともにひとつの曲を作り上げる」という前代未聞の試みがスタートした。作曲を担当したのは「若大将」の愛称で国民的人気を誇る加山雄三。そして作詞を託されたのが、グループ「アリス」のリーダーであり稀代の言葉を紡ぐ谷村新司だった。
制作の現場は文字通りの戦場だった。スタジオに持ち込まれたキーボードに向かい、加山は生放送の限られた時間のなかでメロディの構想を疾風怒濤の勢いで練り上げた。一方、谷村は全国から次々と届く膨大なFAXに目を通していた。そこに綴られていたのは、視聴者それぞれの「心にある故郷」や家族への想い、素朴な愛の言葉だった。終盤、突貫工事のように完成したメロディと歌詞が重なり合った瞬間、音楽業界の関係者すら予想しなかった劇的な化学反応が起きた。ペルシャ語で「宿」や「オアシス」を意味する『サライ』と名付けられたこの歌は、疲れ果てた現代人の心を癒やす心の拠り所として、日本中に浸透していくことになる。