事件の背景を読み解く上で、2016年3月に公表された第三者委員会報告書は決定的な事実を明らかにしています。射殺事件を受け、社内調査を徹底するために弁護士らで構成された独立委員会がまとめたこの報告書には、同社がバブル期から抱え続けた「病巣」が赤裸々に記されていました。
報告書によると、同社は1989年から1995年にかけて、特定の不動産会社グループおよびその実質的経営者である「A氏」に対し、不動産売買や資金貸付など名目を問わず計約260億円もの資金を流出させていました。そのうち約170億円が回収不能となり、焦げ付きが生じていたのです。通常の上場企業であればあり得ないこの巨額取引は、バブル期の無謀な投資開発や、地上げ・トラブル処理を巡って創業家が頼った「裏の人脈」に起因していました。
大東前社長が2000年にトップに就任した際、突きつけられた最大の使命はこの莫大な負債と不適切関係の整理でした。大東氏は辣腕を振るい、金融機関との折衝を進めると同時に、社内の反対や外部からの圧力を跳ね除けながら、A氏グループとの関係遮断を強力に進めました。捜査関係者によると、まさにこの「資金回収と縁切り」を強硬に進めたプロセスにおいて、利権を断ち切られた勢力との間に深刻な軋轢が生じたとみられています。長年培われた反社会的勢力との関係を断ち切ろうとした正義の決断が、凶弾となって跳ね返ってきたのではないかという見方が根強く存在する理由です。