SNSや知恵袋などのコミュニティでは、時折「ベルトの穴開けはスーツ店や百貨店でタダでやってくれた」という体験談が語られます。しかし、この言説を鵜呑みにして私物を持ち込むと、店頭で気まずい思いをすることになります。
取材によって判明したベルト穴開け無料店舗の真相は、極めて限定的な特例措置に過ぎません。スーツスクエア、洋服の青山、AOKIといったスーツ量販店におけるサービス実態を調査すると、現在はいずれも「自店で当日スーツやベルトを購入した顧客に対する無料フィッティングサービス」としての運用を原則としています。他店で購入した私物ベルトを持ち込んで「無料で穴を開けてほしい」と依頼しても、作業中の破損補償が担保できないため、原則として断られる体制が業界内で共通化されています。
また、百貨店のベルト穴開けサービスについても構造は同様です。三越伊勢丹や高島屋などの紳士服サロンでは、購入レシートの提示やフロア内の購入履歴が確認できる場合に限り、サービスカウンターで無償・あるいは少額で対応する事例があります。一方で、持ち込み品に関しては百貨店内のテナントとして入居している靴・鞄リペアコーナー(ミスターミニット等)へ案内され、規定の通常料金が適用される仕組みとなっています。「他店購入品の完全無料加工」を提供する商業店舗は、現代のリスク管理基準において実質的に皆無であると認識しておく必要があります。