電子レンジによる水切りは、マイクロ波が豆腐内部の水分(自由水)を直接振動させ、水蒸気圧を高めて外部へ押し出す物理現象を利用しています。ここで極めて重要なのが、絹ごし豆腐と木綿豆腐の内部構造の違いです。
絹ごし豆腐の水分含有量は約89〜90%であり、豆乳全体を均一に凝固させて作られるため、水分が微細な網目構造の中に抱え込まれています。一気に過剰なマイクロ波を当てると、内部の蒸気圧が逃げ場を失い、細胞壁を一気に破壊して形が崩れる原因になります。そのため、絹ごし豆腐は比較的穏やかに加熱し、内部組織を壊さない出力調整が求められます。
一方、木綿豆腐の水分含有量は約86〜87%です。一度固めた豆乳を崩して圧搾・脱水しているため、すでに強固なタンパク質の骨格(ゲル構造)が形成されています。水分が抜けやすい流路があらかじめ存在しているため、木綿豆腐はマイクロ波の蒸気圧に耐えやすく、短時間の高出力加熱でも型崩れしにくいという特徴を持ちます。
また、気になる豆腐水切りにおける電子レンジ加熱時の栄養価の変化について、食品分析データでは、水に長時間さらす水切り法に比べて水溶性ビタミン(B群など)やカリウムの流出が約15〜20%抑制されることが実証されています。大豆イソフラボンや良質な植物性タンパク質をしっかりと残せる点でも、電子レンジ調理は極めて合理的な選択肢と言えます。