ネット上の掲示板や動画配信サイトを検索すると、しばしば愛知県ダム心霊スポットの噂と真相といったセンセーショナルなオカルト情報が目につきます。特に矢作ダム周辺の旧トンネルや、新豊根ダムの奥深い山道、さらには入鹿池(犬山市)周辺などを名指しし、「夜間に怪奇現象が起きる」「心霊写真が撮れる」といった無責任な言説が拡散されてきました。
しかし、これらネット上の噂の実態を冷静に検証すると、その大半は根拠のない都市伝説や風評被害に過ぎないことが分かります。ダムはその立地特性上、険しい峡谷を切り拓いて建設されるため、周辺道路には街灯が極めて少なく、夜間は完全な漆黒の闇に包まれます。昼間は緑豊かな水辺に見える場所も、深夜になれば風の唸り声や野生動物(イノシシ、シカ、クマ)の物音が谷あいに反響し、これが訪れた者の心理的不安や恐怖心を煽って「怪異」へと脳内変換されてきたのが真相です。
また、過去の難工事に伴う殉職者の慰霊碑や、不幸な水難事故の記憶を面白半分に結びつける悪質なコンテンツも後を絶ちません。現場の管理事務所や警察当局は、夜間の不要不急の立ち入りに対し厳重なパトロールを実施しています。夜間のダム周辺は、路面の凍結、落石、野生動物の飛び出しといった極めて現実的な物理的危険に満ちています。国土と市民の命を守るために命懸けで築かれたインフラを心霊スポットとして冒涜することは厳に慎むべきであり、ダムの真の姿は陽光の下でその機能と歴史に正しく向き合うことでこそ理解できます。