南京虫(トコジラミ)による吸血被害に遭った際、最も危険なのは「ダニや蚊の仕業だろう」と思い込んで初動を誤ることです。昆虫学的な見地および日本ペストコントロール協会などの現場データに基づくと、刺された跡の現れ方には明確な生態的パターンが存在します。
南京虫は夜行性で、人間が就寝している間に露出している皮膚を探して吸血します。蚊のように空を飛ぶことはできず、寝具やベッドフレームから這い上がってくるため、「パジャマから露出した腕、足首、首回り、顔面」が集中的な標的となります。さらに、吸血中に人が寝返りを打つなどして口吻(こうふん)が抜けると、そのすぐ隣で再び吸血を試みる習性があるため、刺された跡が2〜3箇所まとまって直線状、あるいは千鳥足状に並ぶ「グループ配列」を形成するのが際立った特徴です。
一方、屋内に生息するツメダニやイエダニは、脇の下、内股、下腹部など「下着や服で覆われた皮膚の柔らかい部位」を好んで刺します。蚊のように1箇所だけ突発的に刺されて腫れるケースとも異なり、南京虫は一夜にして広範囲に複数の赤い丘疹(きゅうしん)を残します。