1983年4月にシングル『SUMMER SUSPICION』で鮮烈なデビューを飾った杉山清貴&オメガトライブは、プロデューサーの藤田浩一、作曲・編曲の林哲司、そして作詞家の康珍化という黄金トリオによって徹底的にコンセプトワークが作り込まれたプロジェクトでした。しかし、続く2ndシングル『ASPHALT LADY』のセールス推移を受け、制作陣には「次で確実にトップグループの仲間入りを果たさなければならない」という強いプレッシャーがかかっていました。
そうした緊迫感の中で制作されたのが、1984年1月21日に発売された『君のハートはマリンブルー』です。当時としては異例だったのが、真冬の1月にリリースするシングルに「マリンブルー」という明確な海を連想させるタイトルを冠した点でした。TBS系金曜ドラマ『年ごろ家族』(宇津井健主演)の主題歌タイアップを獲得したことも重なり、毎週お茶の間に流れる哀愁を帯びた旋律は、視聴者の耳へ瞬く間に浸透していきました。
林哲司氏は後年のインタビュー等において、この楽曲について「単なる夏の抜け殻ではなく、冬の冷たい空気感にもマッチするウェットなメロディを意識した」と語っています。歌謡曲全盛の時代にあって、洋楽AOR(Adult Oriented Rock)の洗練されたエッセンスを日本のポップスに見事に昇華させた、まさに勝負の一曲でした。