戦前の都市流言として一度は沈静化した赤マントですが、昭和後期から平成にかけて、装いを新たに再び脚光を浴びます。舞台を夕暮れの路地裏から「学校のトイレ」へと移し、いわゆる「赤い紙・青い紙」の怪談と融合を果たしたのです。
この変容形では、個室トイレに入っているとどこからともなく「赤い紙がほしいか、青い紙がほしいか」と不気味な声が問いかけてきます。
この二者択一のルールは極めて理不尽で残虐です。
- 赤い紙と答えた場合:全身から血を噴き出させられる、あるいは皮膚を剥がされて赤く染まって命を落とす。
- 青い紙と答えた場合:全身の血をすべて吸い尽くされ、真っ青なミイラ状態になって絶命する。
どちらを選んでも死を免れないという絶望的なトラップに対し、子供たちの間では数々の「生存のための対処法」が生み出されていきました。「『黄色い紙』や『白い紙』など別の色を要求する」「『紙はいりません』とはっきり断って逃げる」「質問を完全に無視して個室を飛び出す」といった切り抜け方が、口コミや児童書を通じて共有されたのです。閉鎖空間であるトイレと不可避の二者択一という舞台設定は、恐怖を煽る都市伝説として完璧な完成度を誇っていました。