スーパーの白砂糖が1キロ数百円で手に入るのに対し、和三盆は100グラムで千円近くすることもあります。この価格差の背景には、原材料の希少性と想像を絶する手間暇がかかる製造工程があります。
まず原料となるサトウキビの品種が全く異なります。和三盆には、沖縄などで栽培される大型の近代品種ではなく、四国に伝わる在来品種「竹糖(ちくとう・別名:細黍)」が使われます。竹糖は茎の太さが大人の指ほどと細く、風雨で倒れやすいうえに搾れる果汁の量が極めて少ないため、生産効率は極めて低くなります。
収穫後の製法も非常に過酷です。竹糖を搾って煮詰め、結晶化させた原糖(白下糖)を作った後、麻布に包んで圧搾機にかけ、糖蜜を絞り出します。ここからが和三盆の真骨頂である「研ぎ(とぎ)」の作業です。
平らな盆の上で、白下糖にわずかな水を加えながら職人が体重をかけて手もみで力強く練り合わせます。糖の結晶を細かく砕きつつ、結晶の周りに付着した蜜を洗い出すこの工程を、圧搾とセットで3回から5回ほど連日繰り返します。すべての工程に1週間以上を要し、完成する和三盆の量は原料の白下糖から約半分にまで減ってしまいます。この膨大な労力と歩留まりの低さが、高価格となる必然的な理由です。