アメリカへ渡り世界的名医による大手術を受けた吉村氏は、患部を固定したまま気の遠くなるような過酷なリハビリを開始しました。医学的な常識では現役復帰は絶望的と言われたものの、懸命に筋力を鍛え上げ、1989年9月2日のヤクルト戦で1年2ヶ月ぶりに1軍復帰を果たします。
東京ドームが割れんばかりの大歓声で迎えた復帰打席で鮮やかなヒットを放つと、翌1990年には代打の切り札として打率4割を超える勝負強さを発揮。同年9月8日のヤクルト戦では、リーグ優勝を決める劇的な代打サヨナラ本塁打を右中間スタンドへ叩き込み、日本中を感動の渦に巻き込みました。
大怪我以前のような俊足や守備範囲を取り戻すことは叶わなかったものの、代打のスペシャリストおよび勝負どころの主軸として活躍を続けました。現役生活での通算成績は964安打、149本塁打、535打点、通算打率.296。度重なる試練を乗り越えて残したこの数字は、額面以上の重みを持ってファンの記憶に刻まれています。