ネット上の簡易的な解説記事やショート動画には、医学的に見て看過できない誤謬が少なくありません。最大の盲点は「強ければ強いほど効く」という思い込みです。
ツボ押し棒やペンの角などで組織を破壊するような強刺激を与えると、脳はそれを「外傷リスク」と認識し、防御反応として交感神経をさらに跳ね上げてしまいます。結果として翌朝の揉み返しや、血管透過性の亢進による内出血を招きます。また、「両手を同時に強く揉み込む」手法も推奨されません。片手ずつ意識を集中させ、呼吸のリズムと連動させることが必須条件です。
もう一つの誤解は「ツボ押しだけで重度の自律神経失調症が完治する」という過度の期待です。手のツボはあくまで「急性的な興奮状態を瞬時にニュートラルへ引き戻すための緊急ブレーキ」であり、根本的な睡眠習慣の乱れや極度の栄養失調(マグネシウム・ビタミンB群・鉄分の不足など)を放置したままでは、再び自律神経は乱れてしまいます。