『ドクターX』という作品がこれほどまでに長年愛された理由は、主演の米倉涼子の圧倒的なオーラはもちろんのこと、岸部一徳という稀代の名優の存在を抜きにしては語れない。
ザ・タイガースのベーシストとして一世を風靡し、その後役者として日本映画界・ドラマ界の重鎮となった岸部。彼が演じる神原晶は、胡散臭さと温かさ、軽快さと深遠さを同居させた、唯一無二のキャラクターだった。
米倉涼子とのテンポの良い掛け合い、スキヤキソングに合わせて踊るコミカルなステップ、そして命の瀬戸際で見せる鬼迫の演技。岸部一徳という役者がいたからこそ、神原晶は単なる「主人公の師匠」に留まらず、日本ドラマ史に残る愛されるキャラクターへと昇華したのだ。