空条承太郎という不世出のヒーローを創り出すにあたり、原作者の荒木飛呂彦氏は映画俳優クリント・イーストウッドが演じた『ダーティハリー』やマカロニ・ウェスタン劇中の「言葉少なに正義を貫く男」の佇まいを強く意識したと、自著『荒木飛呂彦の漫画術』や数々のインタビューで公言しています。
第1部のジョナサン・ジョースターが「高潔な英国紳士」、第2部のジョセフ・ジョースターが「機転とユーモアで戦うトリックスター」であったのに対し、第3部の承太郎には「無駄口を叩かず、背中で語るタフガイ」という明確な差別化が求められました。そこで採用されたのが、ピンチや不条理な事態に直面しても取り乱さず、ため息混じりに状況を受け流す「やれやれだぜ」という口癖です。
大声で怒鳴り散らすのではなく、低く静かに呟くことで、敵に対する圧倒的な威圧感と精神的優位性を同時に演出する――。このミニマリズム極まるセリフ回しこそ、荒木氏が計算し尽くしたキャラクターメイキングの結晶でした。