現在の任天堂を象徴するメガヒットハード「Nintendo Switch」。その据え置きと携帯機を融合させたコンセプトの根底にも、岡田悟らが築き上げた開発 DNA が脈々と息づいている。
岡田の思考法の真骨頂は、「減点法」ではなく「加点法」でプロダクトを見ることにある。完璧なスペックを追求するあまり高価格化したり重くなったりするのを嫌い、「何をやらないか」を明確に削ぎ落とす。その上で、ユーザーが得られる最大の体験価値にリソースを集中させるのだ。昨今のレトロゲームブームにおいて、数十年前のグラフィックやシンプルなゲーム性が今なお人々を惹きつける理由もここにある。スペックの競い合いに終始する現代のゲーム業界において、岡田が実践してきた「足し算ではなく引き算の設計思想」は、新たなハードウェア開発の指針として見直されている。