ジムや自宅で熱心にウエイトを挙上していても、二の腕の筋肉が思うように反応しないケースには明確なバイオメカニクス的理由が存在します。「上腕三頭筋 ダンベル 効かない 理由」を分析すると、多くのトレーニーが無意識のうちに以下の3つの落とし穴に嵌まっています。
第一の理由は、「長頭」に対する刺激の絶対的不足です。上腕三頭筋は「長頭」「外側頭」「内側頭」の3つの頭で構成されていますが、このうち外側頭と内側頭は上腕骨に付着している単関節筋であるのに対し、長頭は肩甲骨の関節下結節に付着する「二関節筋」です。肘を伸ばす動作だけでなく、腕を後方や上方へ引く肩関節の伸展・内転動作を伴わなければ長頭はフルストレッチされません。腕を下ろした状態のプレス系種目ばかりを行っていると、腕の厚みの鍵を握る長頭が放置され、結果として腕全体のサイズアップが頭打ちになります。
第二の理由は、重量過多による三角筋前部や僧帽筋への代償動作です。上腕三頭筋は腕の単関節運動(アイソレーション種目)で負荷をかけることが多い部位です。しかし、見栄や焦りから扱いきれない重さを選択すると、肘を伸ばす初動で肩をすくめたり、上腕を前後に揺らして反動を使ったりしてしまいます。筋電図(EMG)を用いた動作解析データでも、過度なチーティングを用いた場合、上腕三頭筋の筋活動量が最大35%以上低下し、負荷の大部分が三角筋前部へ逃げることが実証されています。
第三の理由は、負荷が抜けるポジションでの無意味な反復です。ダンベルの負荷は常に重力方向(鉛直下向き)にしか働きません。例えば、キックバックで上腕が床と平行まで持ち上がっていなかったり、フレンチプレスのボトムで肘が完全に脱力していたりすると、筋肉が緊張を維持する「TUT(Time Under Tension:緊張持続時間)」が極端に短くなります。筋肉を成長させる刺激を与えるには、全可動域にわたって負荷を乗せ続ける緻密なコントロールが欠かせません。