子どもたちを連れての海外移住は、決して思いつきや衝動によるものではなかった。かつてNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』で国民的な支持を集め、過密なスケジュールの中で3人の年子・双子をワンオペ同然で育ててきた経験が、彼女に「もっと自由に、広い視野で生きられる場所を子どもたちに与えたい」という思いを抱かせた。
その背中を力強く押したのが、ハリウッドを舞台に世界で戦い続けてきた父・渡辺謙の存在だ。「海外に住むのは本当にいい経験になる」「ダメならいつでも帰ってくればいい」という父のシンプルで重みのある言葉は、不安を抱えていた彼女の肩から余計な力を抜き去った。自らも世界を股にかけてきた父だからこそ知る異文化の厳しさと面白さ。その確かな支えがあったからこそ、彼女は確固たる意志を持って一歩を踏み出すことができたのだ。