家紋を調べる過程で多くの人が直面するのが、「丸で囲まれているか否か」という問題です。インターネット上では「丸ありは庶民の家系で、丸なしは武家の直系」といった俗説が散見されますが、これは歴史的な事実とは異なります。家紋丸あり丸なし意味の真相は、主にデザインの収まりの良さや、明治期に着物へ紋を染め抜く際のバランス調整、あるいは分家独立時の識別記号として外枠を付加したことに由来します。
ここに深く関連するのが家紋本家分家違いの慣習です。かつての日本社会では、次男や三男が分家を起こす際、本家と全く同一の家紋を用いることを避け、本家の紋に「丸(円枠)」や「角(四角枠)」を付ける、あるいはモチーフの数を減らすといった改変を加えて敬意を示しました。
また、家紋由来苗字という言葉から「名字が佐藤だから下がり藤」「渡辺だから渡辺星」と安易に決めてしまうミスも後を絶ちません。明治8年の平民苗字必称義務令以降、各家庭が自由に家紋を選択・登録した背景もあるため、名字の一致だけで家紋種類ルーツ特定を行うのは危険です。必ず同族の古老へのヒアリングや物的証拠の裏付けを伴わせて判断する必要があります。