ここで一つの重要な疑問が生じます。「ミンガラバーが日常で使われないのなら、外国人はこの言葉を使ってはいけないのか?」という点です。
東京都新宿区の高田馬場をはじめとする日本国内のミャンマー人コミュニティや、現地ヤンゴンに進出している日系企業の日本人駐在員らへの聞き取り調査を行うと、現場の実態は非常に寛容であることが浮き彫りになります。現地のビジネスパーソンや在日ミャンマー人の証言を総合すると、共通して以下の見解に辿り着きます。
「外国人が一生懸命に『ミンガラバー』と挨拶してくれたら、私たちの国の言葉を学んでくれたことが伝わり、無条件に嬉しい。決して馬鹿にしたり不快に思ったりすることはありません」(現地ホテル関係者の証言)
つまり、外国人が初対面で「ミンガラバー」と発話することは100点満点の正解です。現地でクスッと笑われるケースがあるのは、発音のイントネーションがぎこちない微笑ましさや、ローカルな屋台でいきなりホテルマンのような仰々しい挨拶が飛び出したギャップによるものであり、否定的な嘲笑ではありません。
しかし、関係性を一歩進めて現地の懐に飛び込みたい場合、ずっとミンガラバーに依存していては「お客様」の壁を越えられません。2回目以降に会った際や、昼時に「サーピーピラー?(ご飯食べた?)」と投げかけることで、現地の人々は「おっ、この人は本当のミャンマーの暮らしを知っている」と目を見張り、一気に心の境界線を解いてくれるのです。