美容SNSや動画プラットフォームの一部で定期的に拡散される「インナードライは皮脂が出るのだから乳液を使わないほうがいい」という言説。このスキンケア手法の真相を科学的に検証すると、肌の砂漠化を助長する極めて危険な誤解であることが分かります。
「乳液を塗るとベタつく」「ニキビができそう」という心理的抵抗感から乳液を排除してしまうと、化粧水によって肌に与えられた水分は、外気へとわずか10〜15分程度で蒸発していきます。さらに厄介なことに、水分が蒸散する際、もともと角層内部にあった本来の水分まで一緒に奪い去る「過乾燥現象」が引き起こされます。その結果、肌はバリア機能の破綻を補うため、それまで以上に猛烈な勢いで皮脂を分泌し始めるのです。
大切なのは「乳液を使わないこと」ではなく、「どのような油膜を形成するか」です。毛穴を詰まらせやすい重厚な鉱物油ではなく、肌の細胞間脂質と親和性の高いスクワラン、セラミド、ホホバ種子油などを主軸とした、軽やかなジェル状乳液やオイルフリーの保湿液を選ぶのが鉄則です。「油分を怖がらず、適正なエマルジョンで蓋をして水分の蒸発経路を遮断する」ことこそが、皮脂分泌の暴走を止める絶対条件となります。