ネット上の家づくり掲示板では「古民家風の家は冬場が底冷えして隙間風がひどい」「地震が起きたら倒壊しやすいのではないか」といった論調が散見されます。しかし、これは純粋な「古民家リノベーション(数十年前に建てられた伝統構法家屋の改修)」と「古民家風新築」を明確に混同した誤謬に過ぎません。
省エネ基準適合義務化などの制度改編を経た現代において、新築住宅として建築確認を通過させる以上、古民家風住宅であっても最新の法令が定める断熱・耐震基準をクリアしなければ建てられません。外見や内観のテイストが江戸・明治・大正・昭和初期の民家調であっても、壁の内部には高性能グラスウールやフェノールフォームといった断熱材が隙間なく充填され、現代の接合金物や構造用合板で強固に固められています。
ただし、ここで絶対に押さえるべき落とし穴が存在します。それは「デザイン先行の設計士による温熱シミュレーションの欠如」です。法律上の断熱最低基準をクリアしているだけでは、吹き抜けリビングや現し梁を取り入れた大空間を快適に保つことはできません。
古民家風新築で生涯にわたる温熱快適性を確保するには、断熱等性能等級6(HEAT20 G2レベル、おおむねUA値0.46以下)を目標値とし、かつ家の隙間面積を示すC値(相当隙間面積)を「1.0以下」に抑える施工精度が不可欠です。高気密・高断熱仕様としっかりとした全館換気・空調設計(第一種熱交換換気システムや床下エアコンの導入など)をセットで組み込むことで、初めて「見た目は歴史ある古民家の重厚感、室内の体感温度は北欧の超高断熱住宅」という至高の住環境が成立します。