回避性人格障害(Avoidant Personality Disorder)とは、広範にわたる社会的抑制、自分は人間として不適格であるという強い劣等感、そして否定的な評価や批判に対する極度の過敏さを特徴とするパーソナリティ障害です。世界的な診断マニュアルである米国精神医学会のDSM-5診断基準と症状において、本症は「クラスターC(不安や恐怖が強いグループ)」に分類され、成人期早期までに形成された思考・行動パターンが長期にわたり持続します。
日常会話で使われる「人見知り」や「内向的な性格」と、回避性パーソナリティ障害の特徴を分かつ決定的な境界線は、「社会的機能の著しい障害」と「回避の深刻さ」にあります。人見知りの場合、最初は緊張しても時間の経過とともに場に馴染むことができますが、回避性人格障害では「恥をかくこと」「拒絶されること」を極限まで恐れるあまり、昇進の打診を辞退したり、友人からの誘いを何ヶ月も無視し続けたりするなど、自らの人生やキャリアを根本から制限してしまいます。
臨床心理の現場では、回避行動は大きく2種類に分類されます。1つ目は、人と関わることで生じるストレスを遮断する「対人関係の回避」。2つ目は、直面した課題の解決から逃げる「問題解決の回避」です。これらが日常的に繰り返される結果、孤立が無意識のうちに自己防衛システムとして定着し、抜け出せない負のスパイラルを生み出しています。