激痛に晒された人間が「最強の薬」を渇望するのは、生存本能に根差した自然な防衛反応です。しかし、痛みを無理やり抑え込む行為には、心理学的および行動医学的な危険性が潜んでいます。「痛みが消えた=原因が治った」と脳が錯覚し、病変そのものを放置してしまう危険です。市販の鎮痛剤は、あくまで原因療法ではなく、医療機関を受診するまでの「対症療法(一時的な時間稼ぎ)」に過ぎません。
鎮痛剤への心理的依存が進むと、少しの違和感でも「激痛への恐怖」から予防的に薬を乱用するようになり、やがて薬自体が頭痛を誘発する「薬物乱用頭痛(MOH)」へと進行します。この負の連鎖を断ち切るために、以下の判断基準を厳密に設けてください。
市販の最強鎮痛剤を選んで良い人の条件
- 痛みの原因がはっきりしている(定期的な月経痛、初期の緊張型頭痛、受診予約済みの抜歯待機期間など)。
- 過去にNSAIDsの服用で胃腸障害や喘息発作を起こした経験がない。
- 服薬が単発または1〜2日程度の一時的な使用に留まる計画である。
市販薬の使用を中止し、直ちに医師の診察を受けるべき人の条件
- 市販薬を服用しても痛みが全く軽減せず、むしろ増悪している。
- 月に10日以上、あるいは週に3回以上、定期的に鎮痛剤を服用し続けている。
- これまでに経験したことがないような突然の雷鳴のような頭痛や、発熱・痺れ・意識障害を伴う痛みがある。
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の既往がある、または高齢で腎機能低下の懸念がある。