2023年10月のインボイス制度施行によって、従来の免税事業者と課税事業者の判定スキームは根本から揺さぶられました。基準期間の売上が1,000万円以下であっても、適格請求書発行事業者として登録した事業者は強制的に「課税事業者」となります。
多くの小規模事業者を救ってきたのが、売上にかかる消費税の2割だけを納めればよい「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)」でした。しかし、この特例は2026年9月30日の属する課税期間で適用終了を迎えます。
都内でWEB制作事務所を営む30代の個人事業主(年商約800万円)は、取材に対して胸中をこう明かしました。
「インボイス開始時は、取引先からの要請で登録せざるを得ませんでした。これまでは2割特例のおかげで年間15万円前後の納税で済んでいましたが、特例が切れたら実質的な増税負担が重くのしかかります。簡易課税に切り替えるべきか、いっそインボイス登録を取り消して免税に戻るべきか、連日シミュレーションを繰り返しています」
現場では、2割特例の終了に伴い、何の対策も取らずに放置すると自動的に「本則課税(一般課税)」が適用され、領収書の仕入税額控除を厳密に計算する膨大な事務負担と多額の納税が発生することへの危機感が高まっています。