数々のメガヒットを放ってきた三谷幸喜ですが、すべての作品が平坦な高視聴率街道を歩んだわけではありません。意欲的な実験作やキャスティングの妙が、当時のリアルタイム視聴率に直結しなかったケースも存在します。
代表的な例が、2000年にTBS系で放送された『合い言葉は勇気』(主演・役所広司)です。過疎化の進む村の弁護士劇を描いた良質なコメディでしたが、裏番組との競合や独特の間合いが影響し、全話平均視聴率9.7%と、三谷脚本のプライム帯連ドラとしては異例の1桁台を記録しました。
また、1998年の『今夜、宇宙の片隅で』(主演・西村雅彦)も平均視聴率11.6%と、フジテレビの木曜劇場枠としてはやや落ち着いた推移を見せました。ニューヨークを舞台にした舞台劇調の会話劇はドラマ通から絶賛されたものの、大衆的な爆発力には届かなかった形です。
これらの作品は、視聴率という指標においては苦戦したと分類されますが、脚本のクオリティ自体は極めて高く、後に配信サービスや再放送で再評価が進んでいます。数字の波に左右されず、常に新しいフォーマットに挑み続けた三谷の創作姿勢を物語る貴重な作品群です。